耀風ビジョン

進捗はすでに完了しているのに、なぜ次に進めないのか

台日協業が停滞する場面では、どの工程に問題があるのかを現場で特定できないことが少なくありません。必要な資料はすでに提出され、プロセスも当初の予定どおり進んでおり、双方の作業は前に進んでいるように見えます。それでも、ある段階に差しかかると議論が止まり、次のステップがなかなか立ち上がりません。完了した作業が否定されるわけでもなく、現在の対応に明確な反対があるわけでもありませんが、どの前提に基づいて次に進むべきかを確定できない状態が続きます。

このような状況は、協業が一定期間進行した後に生じることが多く見られます。初期段階では、議論は方向性、条件、役割分担に集中し、実行に移すこと自体が合意となります。しかし、協業内容が実際の責任、将来的な影響、制度との接続に関わり始めると、判断基準は変化します。この段階では、個別の作業が完了したかどうかよりも、その対応がすでに成立した判断として扱え、次の作業の前提として直接使用できるかどうかが重要になります。

その結果、議論はより具体的な問いへと移行します。この対応を次のプロセスを開始するための前提として用いることができるのか。これが明確にならない限り、関連事項は記録されるにとどまり、後続の行動にはつながりません。表面的には作業が継続しているように見えても、判断が確認されていないため、進捗はその場に留まり、協業は次に接続できない状態に陥ります。

日本企業は「この発言が有効かどうか」をどう判断しているのか

日本企業の判断においては、一つの発言が成立するかどうかは、それがどの立場から発せられているかと強く結びついています。内容が合理的であることだけでは採用されず、その発言者が結果を引き受けることのできる立場にあるかどうかが重要視されます。その立場は必ずしも最高責任者である必要はなく、肩書きに明示されているとも限りませんが、組織内の責任分担と密接に関係しています。

この違いは、台湾企業にとってしばしば混乱を招きます。同じ内容を何度も説明し、求められた資料も揃えているにもかかわらず、日本側から明確な反応が得られない状況は、不信感や様子見と受け取られがちです。実際には、問題はそれほど複雑ではなく、現在の説明が、判断の結果を引き受けることのできる位置にまだ置かれていないため、後続の判断の基礎として扱えないというケースが多く見られます。

なぜ最終的に会計士に立ち戻るのか

台日協業の実務において、会計士が関与するタイミングは、最初からでも、案件が完全に失敗した後でもありません。多くの場合、議論が同じ地点で何度も行き詰まっている段階で呼ばれます。資料は何度か補足され、説明も一通り尽くされているにもかかわらず、その処理方法を次のステップの前提としてよいのかを、双方とも確定できない状態が続きます。この段階で求められているのは、さらなる情報ではなく、全体の構造に対して判断を下せる立場です。
  • 会計士がここで最初に行うのは、「現在議論されている問題がどの種類に属するのか」を明確にすることです。多くの議論が堂々巡りになるのは、業務運営、税務、会計処理、管理レベルの判断が混在したまま議論されているためです。会計士はこれらのレイヤーを切り分け、どこが作業上の選択なのか、どこが制度との接続に関わるのか、どの部分が将来の会計一貫性に影響するのかを示します。議論が正しいレベルに戻されて初めて、日本側はその問題を今定義すべきかどうかを判断できます。
     
  • 第二の実務的な役割は、処理方法に対して後から追跡可能な説明を構築することです。会計士は、断片的な判断の背景、会計処理の論理、制度上の根拠を一本の説明として整理し、1年後、3年後に再確認された場合でも整合性のある説明ができるようにします。この工程がなければ、どの判断も暫定的なものにとどまり、正式に引き継がれることは困難です。
     
  • 第三の役割は、「個別判断」を「一貫して適用可能な処理原則」へと整理することです。台日協業が停滞する背景には、日本側がそれを例外的な対応ではないかと懸念するケースが多くあります。今回認められた対応が、将来の類似案件にも適用されるのか、その範囲はどこまでなのかを明確にすることで、将来的な統制リスクに対する不安を抑えます。
     
  • 第四の重要な役割は、責任の所在を明確にすることです。多くの判断が確定しない理由は、不合理だからではなく、その結果を誰が引き受けるのかが曖昧な点にあります。会計士が関与することで、その処理が会計および制度上どこに位置づけられ、将来説明を求められた際の根拠がどこにあるのかが明示されます。責任の位置が可視化されて初めて、判断は前に進みます。

こうした具体的な役割があるからこそ、会計士が関与した後に議論の進み方が変わります。実務の観点から見ると、台日協業における会計士の役割は、企業内で錯綜していた議論を、制度が理解できる形へと整えることに近いと言えます。

進捗と判断の間に生じる空白

行き詰まっている台日協業を振り返ると、その原因が方向性の誤りであることは少なく、制度そのものに問題がある場合も多くありません。多くのケースでは、ある段階の進捗が完了しているにもかかわらず、その完了が明確に確認されていない点に問題があります。作業自体は一定のところまで進んでいるものの、その段階が一区切りとして成立しているのかを誰も説明できない状態が続きます。その結果、協業は動いているように見えながら、実際には同じ場所に留まったままとなります。資料は引き続き補足され、説明も繰り返されますが、議論は次の行動へと転換されません。重要なのは情報の量ではなく、判断が正式に残されているかどうかです。

このため、議論は最終的に「誰がこの判断をするのか」という点に戻ってきます。新たな結論が必要なのではなく、既存の判断に境界線を引き、どこまでが成立していて、どこから先に進めるのかを確認することが求められています。この確認が行われて初めて、協業は繰り返し確認する段階を離れ、次の実務フェーズへと移行します。この観点から見ると、台日協業における会計士の役割は、単に専門的な助言を提供することではなく、重要な節目において進捗を初めて「確認可能なもの」にする点にあります。その確認が完了した後、協業が急激に加速するわけではありませんが、少なくともその段階を終えたことが明確になります。