1. グローバル動向におけるグリーンエネルギーおよび環境技術の需要
気候変動の深刻化と持続可能な発展への関心の高まりを背景に、世界各国はエネルギー転換およびカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを加速しています。EUは「ネットゼロ産業法(Net-Zero Industry Act)」を導入し、米国は「クリーン・コンペティション法案(Clean Competition Act)」を推進。アジア太平洋地域では、日本の「グリーン成長戦略」と台湾の「エネルギー転換政策」が、再生可能エネルギーおよび環境技術の発展を牽引しています。このような潮流のなか、ハイテクと製造業の要地である日本と台湾は、脱炭素技術、省エネルギー設備、再エネ、サーキュラーエコノミー分野における協力の可能性を着実に広げています。
2. 日台の技術的優位性
日台双方のグリーンテクノロジーおよびサステナビリティ・トランスフォーメーションにおける協力は、それぞれの産業が持つコア技術、応用力、経営文化の相互補完性に基づいています。日本は高精度製造において世界をリードしており、省エネ材料、環境装置、スマートマニュファクチャリングといった分野において長年の投資と強力な研究開発基盤を持っています。日本企業は技術主導型のアプローチ、標準化、制度的管理に優れ、グリーン技術特許や品質管理でも世界的に高く評価されています。たとえば日立、パナソニック、村田製作所などは、カーボンニュートラルや省エネ技術に大規模な投資を行っています。
一方、台湾企業はICTの統合、デジタル化応用、柔軟なサプライチェーン運営に強みを持っています。中小企業が中心で柔軟性と対応力に優れ、新興のサステナビリティ規制に迅速に対応し、カーボンフットプリントやESG開示の制度導入をスムーズに実現しています。2024年から施行された「気候変動対応法」に基づき、政府支援のもと多くの企業が炭素排出量の算定を完了しています。また、スマートグリッドや蓄電システム分野では、デルタ電子やアドバンテックなどが先頭に立ち、AIやプラットフォーム管理の導入も進めています。
このような技術・制度面での相互補完により、技術統合や製品高度化だけでなく、制度の現地化や市場開拓にも好循環を生み出すことができます。日本企業は台湾の現場経験と迅速な開発力を活かし、適用効率と市場対応力を高めることができ、台湾企業は日本のコア技術や製造ノウハウを取り入れることで、製品の国際競争力を強化できます。さらに第三国市場への共同進出により、高付加価値なグリーンサプライチェーン連携を構築し、戦略的なパートナーシップを深化させることが可能です。
実際、既に成功事例も現れています。例えば、TSMCと日本のソニーが共同出資して設立したJASM半導体工場は、高エネルギー産業における低炭素製造推進の象徴です。また、台湾の金属工業研究発展センター(MIRDC)は、日本企業と水素エネルギー貯蔵部品の開発に取り組んでおり、新エネルギー素材や蓄電技術の分野で初期成果を上げています。これらの事例は、技術面での補完性を実証し、市場主導型協力の実現可能性を裏付けるものです。今後、省エネ建材、廃熱回収、廃棄物リサイクルなどへの応用拡大により、日台間のグリーンバリューチェーンはさらに深化するでしょう。

3. 協業の課題と今後の方向性
しかしながら、文化的相違、法制度の違い、知的財産の保護、規格統一の難しさなど、さまざまな課題も存在します。特に、カーボンフットプリント算定、エネルギー認証、リサイクル制度といった制度面では、相互信頼と調整メカニズムの強化が必要不可欠です。
- 国際共同研究と技術共創:日台の学術研究機関および企業のR&D資源を統合し、省エネ素材、再エネ設備、サーキュラーエコノミー技術などを共同開発する「グリーンテクノロジー研究連携体」を設立。共同実証フィールドの設置や共同入札・技術ライセンスを通じて、成果の商品化を加速します。
- 第三国市場の開拓:東南アジアなど新興市場へ共に進出し、スマート工場、低炭素建築、再エネ設備開発など、日台合弁による統合型グリーンソリューションを提供。ブランド・流通・認証制度の共有を通じて、国際市場における競争優位を強化します。
- グリーン認証と追跡制度の整備:カーボンフットプリント、グリーン調達、リサイクル制度の統合を推進し、ESG開示の一貫性を高め、サプライチェーンの透明性強化につなげます。官民連携だけでなく、業界団体や第三者機関による日台相互認証制度の策定を促し、コンプライアンスコスト削減と国際競争力向上を目指します。また、デジタルツールを導入することで炭素排出追跡の自動化を実現し、データの正確性と内部管理の効率性を向上させます。
4. 地域実務との接続:会計およびコンサルティングの新たな役割
グリーントランスフォーメーションの過程では、技術・市場の対応だけでなく、複雑化するESG規制および情報開示義務への対応が必要です。ここで、会計とコンサルティングの専門サービスが真価を発揮します。耀風会計士事務所では、財務の専門性と国際基準の理解を活かし、日台企業のESG制度導入、気候リスク評価、カーボンフットプリント算定、サステナビリティ報告の作成などを支援しています。
また、IFRS S1/S2、TNFDなどのフレームワークに準拠した開示コンサルティングも提供し、国際投資家やサプライチェーンからの要請に応えると同時に、企業の内部ガバナンスを強化します。さらに、部門横断型のコンサルティング体制により、戦略立案からデータ収集、報告の検証に至るまで、持続可能でトレーサブルなESG実践体制の構築をサポートしています。
かつては多くの企業がサステナビリティ開示に慎重でしたが、規制強化が進むなかで、ESG情報は企業価値とリスクを評価するための重要要素となっています。コンサルタントはもはや業務委託の枠を超え、企業の長期的変革とガバナンス高度化を支える戦略的パートナーです。日台のグリーン連携が進展する中、耀風のような地域密着型のアドバイザーが、企業の変革の可視化、効果測定、価値創出に貢献する架け橋となります。
5. 結語:二国間協力から地域的影響力へ
グリーンエネルギーは一国の課題ではなく、気候リスクに直面するすべての企業と政府が共有すべきテーマです。日台間のグリーン協力が深化すれば、技術革新と市場拡大の機会をもたらすだけでなく、アジア太平洋地域におけるサステナブル・ガバナンスにも好影響を及ぼすでしょう。スマート製造、サーキュラーエコノミー、グリーンファイナンスなどの分野において、制度統合と価値共創を通じて、不確実性の時代における低炭素と繁栄の両立を実現していく必要があります。
サプライチェーン再構築とESG標準のグローバル統一が進むなか、変化への迅速な適応と信頼できるパートナーの確保が、企業の競争優位の鍵となります。今後10年、日台が技術、制度、人材の面で協力を深めることができれば、アジアにおけるグリーン発展の新たなモデルとなり、地球規模のサステナビリティ目標達成に実質的な貢献を果たすことができるでしょう。