日本本社から突然、「今年からSSBJへの対応が必要となるため、台湾子会社にもサステナビリティ関連データを提供してほしい」と連絡が来ていませんか。
多くの在台日系企業にとって、これはもはや一部の大企業だけが直面するテーマではありません。今後、より多くの海外子会社が対応を求められる可能性のある、実務上の重要課題となっています。日本の親会社が東京証券取引所の上場企業である場合、台湾子会社の規模が大きくなくても、グループ全体のサステナビリティ情報収集の対象となる可能性があります。
本文では、SSBJとは何か、なぜ台湾子会社も対応を求められるのか、そして会計事務所等の専門家によるサポート体制がまだ整っていない場合に、どこから着手すべきかを、できるだけわかりやすく説明します。
日本本社から指示を受けたばかりで、実務に落とし込める対応方法を探している方に向けた内容です。
一、SSBJとは何か:日本版サステナビリティ開示基準をわかりやすく解説
国際的には、IFRS Foundation傘下のISSB(International Sustainability Standards Board)により、新たなサステナビリティ開示の枠組みが整備されています。その中核となる基準が IFRS S1 および IFRS S2 であり、企業がサステナビリティ関連のリスクと機会を、財務報告と同じく重要な開示対象として位置づけることを目的としています。
日本では、この国際的な枠組みを踏まえ、国内版のサステナビリティ開示基準が整備されています。その基準を開発・公表しているのが、**SSBJ(サステナビリティ基準委員会)**です。SSBJは2025年3月に、初めてのサステナビリティ開示基準を公表しました。
台湾においても、IFRS S1/S2との接続に向けた制度整備が進められており、主管機関により、上場・店頭公開企業を対象としたサステナビリティ情報開示の段階的導入が進められています。台湾の金融監督管理委員会(FSC)は、2026年度からTWSEおよびTPEx上場会社に対し、IFRSサステナビリティ開示基準を段階的に適用する方針を示しています。
簡単に言えば、ISSBは国際基準、SSBJは日本版の基準、そして台湾には台湾における導入制度があるという関係です。三者はいずれも同じ国際的な流れを背景としていますが、適用対象、導入スケジュール、実務上求められる対応には、それぞれ違いがあります。
日本では、この国際的な枠組みを踏まえ、国内版のサステナビリティ開示基準が整備されています。その基準を開発・公表しているのが、**SSBJ(サステナビリティ基準委員会)**です。SSBJは2025年3月に、初めてのサステナビリティ開示基準を公表しました。
台湾においても、IFRS S1/S2との接続に向けた制度整備が進められており、主管機関により、上場・店頭公開企業を対象としたサステナビリティ情報開示の段階的導入が進められています。台湾の金融監督管理委員会(FSC)は、2026年度からTWSEおよびTPEx上場会社に対し、IFRSサステナビリティ開示基準を段階的に適用する方針を示しています。
簡単に言えば、ISSBは国際基準、SSBJは日本版の基準、そして台湾には台湾における導入制度があるという関係です。三者はいずれも同じ国際的な流れを背景としていますが、適用対象、導入スケジュール、実務上求められる対応には、それぞれ違いがあります。
二、なぜ台湾子会社も対応を求められるのか
在台日系企業の子会社にとって、SSBJへの対応は一見すると日本本社側の課題のように見えるかもしれません。しかし実際には、本社がグループレベルでサステナビリティ開示を行う場合、台湾子会社もデータ収集の対象に含まれる可能性が高くなります。
その理由は、日本の親会社がグループ全体のサステナビリティ情報を外部に開示するためには、海外拠点におけるエネルギー使用量、温室効果ガス排出量、人事・労務関連データ、サプライチェーン、ガバナンス体制などの情報を取りまとめる必要があるためです。
そのため、台湾子会社が最終的な開示主体になるとは限りませんが、実務上は、現地データを提供する第一線の担当拠点となるケースが少なくありません。
言い換えれば、台湾子会社が最終報告書を作成する立場でなくても、必要な情報を最初に整理し、正確に提出する立場になる可能性があるということです。
その理由は、日本の親会社がグループ全体のサステナビリティ情報を外部に開示するためには、海外拠点におけるエネルギー使用量、温室効果ガス排出量、人事・労務関連データ、サプライチェーン、ガバナンス体制などの情報を取りまとめる必要があるためです。
そのため、台湾子会社が最終的な開示主体になるとは限りませんが、実務上は、現地データを提供する第一線の担当拠点となるケースが少なくありません。
言い換えれば、台湾子会社が最終報告書を作成する立場でなくても、必要な情報を最初に整理し、正確に提出する立場になる可能性があるということです。

三、会計事務所のサポートがまだない場合、今できること
現時点で、まだ継続的に相談できる会計事務所や専門家がいない場合でも、すべての条件が整ってから対応を始める必要はありません。
在台日系企業にとってまず重要なのは、データの棚卸しと社内分担の枠組みを整えることです。台湾子会社として現時点で取得可能な情報、たとえばエネルギー使用量、水使用量、人事関連データ、事業拠点、サプライヤー情報、既存の管理制度などを整理するところから始めることができます。
実務上は、まず簡易的なデータリストを作成し、以下の3つに分類することをお勧めします。
在台日系企業にとってまず重要なのは、データの棚卸しと社内分担の枠組みを整えることです。台湾子会社として現時点で取得可能な情報、たとえばエネルギー使用量、水使用量、人事関連データ、事業拠点、サプライヤー情報、既存の管理制度などを整理するところから始めることができます。
実務上は、まず簡易的なデータリストを作成し、以下の3つに分類することをお勧めします。
- 現在のシステムから直接取得できるデータ
- 手作業で集計する必要があるデータ
- 現時点では未整備であり、今後補強が必要なデータ
このように整理しておくことで、必要な作業量を早期に把握できるだけでなく、その後、日本本社、会計事務所、またはコンサルティング会社と連携する際にも、スムーズに情報共有を行うことができます。
社内にESG専任者がいない場合には、まず単一の窓口担当者を指定し、日本本社および社内各部門との連絡を一元化することが望まれます。これにより、資料のバージョンや説明内容に不一致が生じるリスクを抑えることができます。
多くの在台日系企業において、SSBJ関連データは、財務、総務、人事、購買、工場管理など、複数部門にまたがる情報となります。そのため、早い段階で社内のコミュニケーション体制を整えておくことが、後の実務負担を大きく軽減することにつながります。
社内にESG専任者がいない場合には、まず単一の窓口担当者を指定し、日本本社および社内各部門との連絡を一元化することが望まれます。これにより、資料のバージョンや説明内容に不一致が生じるリスクを抑えることができます。
多くの在台日系企業において、SSBJ関連データは、財務、総務、人事、購買、工場管理など、複数部門にまたがる情報となります。そのため、早い段階で社内のコミュニケーション体制を整えておくことが、後の実務負担を大きく軽減することにつながります。
四、在台日系企業が直面しやすい三つの実務課題
一つ目の課題は、日本本社が何を求めているのかを、台湾子会社が最初の段階では十分に把握できない場合があることです。
会社によっては、エネルギー使用量や温室効果ガス排出量に関するデータのみを求められるケースもあれば、人的資本、サプライチェーン、ガバナンス体制など、より広範な情報の提出を求められるケースもあります。初期段階で対象範囲を確認しておかないと、実際の要請に合わない資料を作成してしまう可能性があります。
二つ目の課題は、必要なデータが社内の複数部門に分散していることです。
財務部門は費用や支出に関する情報を、人事部門は人員関連データを、総務部門は設備やエネルギー使用量に関する情報を、購買部門はサプライヤー情報を管理していることが一般的です。統一された窓口がない場合、データの定義や集計基準が一致せず、資料のバージョンが部門ごとに異なるといった問題が生じやすくなります。
三つ目の課題は、既存の社内データが、必ずしもサステナビリティ開示を前提として設計されていないことです。
多くの在台日系企業では、日常的な事業運営に必要なデータは保有しているものの、それが日本本社のサステナビリティ開示で求められる形式にそのまま対応できるとは限りません。そのため、項目の整理、単位の統一、対象期間の確認などを行ったうえで、回答可能な形に整える必要があります。
だからこそ、早い段階で基礎データと管理プロセスを整備しておくことが、その後の日本本社からの要請に円滑に対応するための重要なポイントとなります。
会社によっては、エネルギー使用量や温室効果ガス排出量に関するデータのみを求められるケースもあれば、人的資本、サプライチェーン、ガバナンス体制など、より広範な情報の提出を求められるケースもあります。初期段階で対象範囲を確認しておかないと、実際の要請に合わない資料を作成してしまう可能性があります。
二つ目の課題は、必要なデータが社内の複数部門に分散していることです。
財務部門は費用や支出に関する情報を、人事部門は人員関連データを、総務部門は設備やエネルギー使用量に関する情報を、購買部門はサプライヤー情報を管理していることが一般的です。統一された窓口がない場合、データの定義や集計基準が一致せず、資料のバージョンが部門ごとに異なるといった問題が生じやすくなります。
三つ目の課題は、既存の社内データが、必ずしもサステナビリティ開示を前提として設計されていないことです。
多くの在台日系企業では、日常的な事業運営に必要なデータは保有しているものの、それが日本本社のサステナビリティ開示で求められる形式にそのまま対応できるとは限りません。そのため、項目の整理、単位の統一、対象期間の確認などを行ったうえで、回答可能な形に整える必要があります。
だからこそ、早い段階で基礎データと管理プロセスを整備しておくことが、その後の日本本社からの要請に円滑に対応するための重要なポイントとなります。
五、在台日系企業に対するサービス上の強み
在台日系企業にとって本当に価値があるのは、単に用語を説明することではありません。日本本社から求められる内容と、台湾子会社における実務対応をつなげることです。
日本のSSBJ基準の枠組み、台湾におけるIFRSサステナビリティ開示基準への接続方針、そして台湾子会社の日常的な業務データの整理方法をあわせて理解できれば、企業はより早く社内の現状把握を進めることができ、日本本社との確認や修正にかかる時間的コストを抑えることができます。
これこそが、在台日系企業にとって必要とされるサービス上の強みです。
日本のSSBJ基準の枠組み、台湾におけるIFRSサステナビリティ開示基準への接続方針、そして台湾子会社の日常的な業務データの整理方法をあわせて理解できれば、企業はより早く社内の現状把握を進めることができ、日本本社との確認や修正にかかる時間的コストを抑えることができます。
これこそが、在台日系企業にとって必要とされるサービス上の強みです。
- 中国語と日本語の双方でコミュニケーションができること
- 日本本社が求めるデータの考え方を理解できること
- 台湾子会社が保有する利用可能なデータを整理できること
- 複雑な要請を、実行可能な実務プロセスへと落とし込めること
多くの企業にとって、サステナビリティ開示の難しさは、制度そのものだけにあるわけではありません。むしろ、クロスボーダーのグループ内で、いかに迅速に認識をそろえ、実務を進めていくかが大きな課題となります。
まさにこの部分こそ、在台日系企業が外部専門家による支援を必要とする領域です。
まさにこの部分こそ、在台日系企業が外部専門家による支援を必要とする領域です。
六、まずはデータ基盤を整えることが、後の対応を円滑にする
SSBJは、単なる法規制上の用語ではありません。グローバルなサステナビリティ開示の流れのなかで、日本企業とその海外子会社がともに向き合うべき新たな実務課題です。
在台日系企業にとっては、日本本社からの依頼を待って、その都度対応するのではなく、まずはデータの棚卸し、社内分担の整理、そして単一窓口の設置から着手し、基礎となる体制を整えておくことが重要です。
基礎データが十分に整理されていれば、その後、日本本社への回答、会計事務所への共有、さらにはサステナビリティ開示プロセスの構築へと進む際にも、より円滑に対応することができます。
略語説明
在台日系企業にとっては、日本本社からの依頼を待って、その都度対応するのではなく、まずはデータの棚卸し、社内分担の整理、そして単一窓口の設置から着手し、基礎となる体制を整えておくことが重要です。
基礎データが十分に整理されていれば、その後、日本本社への回答、会計事務所への共有、さらにはサステナビリティ開示プロセスの構築へと進む際にも、より円滑に対応することができます。
略語説明
- ISSB は International Sustainability Standards Board の略で、国際サステナビリティ基準審議会を指します。
- SSBJ は Sustainability Standards Board of Japan の略で、日本のサステナビリティ基準委員会を指します。
- IFRS は International Financial Reporting Standards の略で、国際財務報告基準を指します。
貴社が最近、日本本社からSSBJ対応に関する依頼を受けている場合、または日台双方のコミュニケーション、データの棚卸し、サステナビリティ開示準備を支援できる専門家をお探しの場合は、耀風公認会計士事務所までお気軽にご相談ください。